【完全解説】特別区経験者採用とは?試験科目・日程・倍率・合格方法

  

特別区職員になるには何から始めればいい?

どんな流れで採用されるんだろう?

この記事では、公務員(特別区職員)への転職に役立つ情報をまとめています。

この記事を読むことで、

  • 特別区経験者採用試験の全体像
  • 1次試験から最終合格までの流れ
  • 受験に当たっての注意点

効率的に把握することができます。

記事のボリュームが多くなっておりますが、試験対策のスタートは「全体像の把握」ですので、ぜひ最後までお読みください。

記事監修 奥田 恭央

OKUDA YASUO

公務員試験「社会人採用」専門予備校Gravity代表

元特別区職員!元大手予備校人気講師!

高校生のときに国家公務員試験を受験し海上保安庁に入庁。大学への進学のため、海上保安庁を退職。大学卒業後は、内閣官房・武蔵村山市役所・中野区役所での勤務を経て、公務員試験予備校最大手の TAC 講師となる。TAC では論文や面接指導のスペシャリストとして、全国への配信講義や全国模試の模範答案作成などを担当。「本当に役立つ本物の指導を提供したい」という思いを掲げ Gravity を設立。

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採用区分・受験資格

採用区分役職受験条件(社会人経験)
1級職係員直近10年のうち、4年以上(※1社のみで4年以上)
2級職主任直近14年のうち、8年以上(※通算が可能)
3級職係長直近18年のうち、12年以上(※通算が可能)

◆1級職

係員での採用となる。社会人経験が4年以上あれば受験が可能

◆2級職

主任での採用となる。係長職への昇任を前提とした採用であり、社会人経験が8年以上あれば受験が可能

◆3級職

係長職として採用される。※例年、事務職での募集はない

引用元:特別区職員募集案内(2022)

1級職で採用されると「係員3年目」という立場からスタートになる。
 →このため、特別区1類試験(大卒程度試験)で採用された職員よりも2年早く主任試験を受験することができる。

Point

  • 必要なのは職歴のみ(学歴は考慮されない
  • 59歳まで受験可能
  • 資格が必要な職種(福祉職など)は資格を取得した後の職歴が対象
  • 社会人経験は22歳からの職歴が対象
  • 2級職は主任での採用となる(採用後の主任試験の受験は不要)
  • 3級職は児童福祉・児童指導・児童心理のみの募集

試験日程

※参考:2022年(令和4年)の日程を以下に掲載

告示(試験概要が公表される日)6月23日
申込受付6月23日~7月14日
1次試験(筆記試験)9月4日
1次試験合格発表10月21日
2次試験(面接試験)10月29日・10月30日・11月5日・11月6日
※この4日間のうち1日が指定される
2次試験(最終)合格発表11月18日
区面接11月下旬~
内定区面接から約1週間後

Point

  • 試験の申込みはWEB申込となる
  • 1次試験は9月上旬に実施される(9月の第1日曜日or第2日曜日)
  • 2次試験は10月下旬~11月上旬に実施される(日時を指定される)
  • 区面接の日時は各区役所から指定される。

受験の流れ

6月下旬 【試験概要の発表】
・各区の募集人数、試験日程などが公表される
・募集をしない区もあるので要注意
6月下旬~7月中旬 【申込】
・WEBから「職務経歴書」や「希望区(働きたい区)」を入力して申し込む
※提出後に内容の変更はできないので要注意
9月上旬 【1次試験】
①教養試験について
・1時間45分
・マークシート形式(5肢択一)
【1級職】
・35題回答(必須回答30題+15題のうち5題を選択回答=35題)
【2級職】
・35題回答(必須回答32題+12題のうち3題を選択回答=35題)
9月上旬 【1次試験】
②論文試験について
・論文試験は「課題式論文」と「職務経験論文」の2つを書く
・各1時間30分
・字数はどちらも1200字以上1500字程度
・職務経験論文は1題が出題される
・課題式論文は2題が出題され、1題を選択する
10月下旬
【1次試験合格発表】
・発表は特別区のホームページに掲載される(合否通知は郵送される)
・合格者には2次試験の日時や会場が併せて通知される
10月下旬~11月上旬
【2次試験】面接試験について
・2次試験は「人事委員会面接」とも呼ばれる
・受験生1人に面接官3人の個別面接
・面接時間は40分~45分程度
11月中旬 【最終合格発表】
・発表は特別区のホームページに掲載される(合否通知は郵送される)
・最終合格後に区役所から【区面接】についての連絡がくる
◆参考「合格者の皆様へ(1級職)」(特別区HPに移動します)
◆参考「合格者の皆様へ(2・3級職)」(特別区HPに移動します)
11月下旬 【区面接】
面接は区によって「本格的な面接」、「意思確認のための面接」など内容が異なっている。区面接前に新たな面接カードの作成・提出を求められることもある。
【内定】
・「区面接」を終えてから数日後に内定の可否に関する連絡がくる
・不採用の場合、他の区役所から2回目の区面接(第2提示)の連絡がくる可能性がある
合格者の声

特別区経験者採用の合否はとにかく「論文」と「面接」で決まる!

合格者の声

面接が苦手なら、論文で高得点を目指す必要があります。

試験倍率(※事務職のみ)

1級職(係員)受験者数最終合格者数合格倍率
令和3年度
(2021年度)
1,302人172人7.6倍
令和2年度
(2020年度)
1,247人155人8.0倍
令和元年度
(2019年度)
1,601人173人9.3倍
2級職(主任)受験者数最終合格者数合格倍率
令和3年度
(2021年度)
762人59人12.9倍
令和2年度
(2020年度)
809人57人14.2倍
令和元年度
(2019年度)
870人61人14.3倍

 ※【参考情報】実際の試験では、1次試験に合格しても2次試験の受験を辞退する者もいるため、実質的な合格倍率はもう少し下がります
 ⇒2021年度の場合、1級職の実質的な倍率は7.5倍です。

特別区合格への戦略

◇エントリー編

試験の申込み(エントリー)はWEBで行います。
エントリーでは、①個人情報(氏名、住所、学歴、職歴など)の入力②採用を希望する区(3つまで)の入力③職務経歴書の入力などが必要になります。
※職務経歴書は、2次試験(面接試験)で使用されます。
※職務経歴書の提出後は内容を修正できないため注意が必要です。

職務経歴書とは??

職務経歴書では、4つの質問項目への回答を入力する必要があります。

その内容は以下のとおりです。

【職務経歴書の質問項目】

(1)あなたが特別区職員を志望する理由を、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて記入してください。

(2)あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。

(3)今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。

(4)今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あな たのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて記入してください。※1級職のみ回答

(5)今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を記入してください。※2級職・3級職のみ回答

 ※1級職は(1)~(4)に回答し、2級職・3級職は(1)~(3)と(5)に回答する必要があります。

Point

  • エントリーは、例年、6月下旬~7月上旬の受付
  • エントリー時の記入内容は提出後の修正ができない
  • エントリー時に採用を希望する区を入力する必要がある
  • 職務経歴書では各項目に320文字以内で回答する必要がある
  • 職務経歴書は面接試験の資料として使用される
奥田講師

職務経歴書の作成が第1関門!
この職務経歴書の提出が、受験生にとって最初の関門となってきます。まさに、これが実質的な1次試験とも言えるでしょう。
提出後は修正や内容変更はできませんので、しっかりと考えて作成する必要があります。

エントリー時の注意点

※エントリー時に採用を希望する区を3つ入力する必要があります。
 ⇒あらかじめ、3つの希望区を選んでおくことが大切です。

※希望区を入力するときに、23区以外にも「特別区人事・厚生事務組合」・「特別区競馬組合」・「東京二十三区清掃一部事務組合」3つの組合を採用希望先として入力することも可能です。

◇1次試験編

1次試験では、「(1) 教養試験」「(2) 論文試験」2つが実施されます。

さらに、(2)論文試験は、「①職務経験論文」と「②課題式論文」の2つに分かれます。

なお、1次試験の当日は、職務経験論文から実施されます。

教養試験から始まると勘違いしている受験生も多くいますので、注意が必要です。

毎年、1次試験は「①職務経験論文→②教養試験→③課題式論文」の順番で行われます。

例年の1次試験当日のスケジュールは、以下のとおりです。

それでは、ここからは、教養試験対策論文試験対策の解説をしていきます。

(1)教養試験対策

特別区を含めて公務員試験全般の教養試験は、大きく「大卒程度(上級レベル)」「高卒程度(初級レベル)」の2つに分かれます。

特別区経験者採用のレベルは、「高卒程度(初級レベル)」であり、比較的易しい内容です。

なお、教養試験は「足切り」にのみ使用されるため、高得点の獲得は不要です。

足切りを突破した後は、論文試験の評価によって1次試験の合否が決定します。

例年、1級職(事務職)の場合には、全35問中13~14点(約4割)を取れば足切りラインを突破できます。

なお、土木などの技術職の場合には8点や9点などの1ケタでも足切りを突破できることがあります。

このように、教養試験の足切りラインは極めて低く設定されています。

一般的な公務員試験の教養試験では6割程度が合格の目安とされていますが、特別区経験者採用の場合には4割程度が足切りラインとなっています。

しかも、問題のレベルも「高卒程度レベル(初級レベル)」と簡単になっています。

このため、特別区の教養対策は独学での対応が十分に可能です。

実際に、初学者がいきなり教養試験の過去問を解いても、多くの方が10点前後を獲得します。

13~14点の獲得のために予備校を利用する必要性はかなり低いでしょう。

Point

  • 教養試験の回答時間は1時間45分
  • マークシート形式(5肢択一)
  • 35問に回答する
  • 教養試験対策は独学が可能

◆1級職の出題科目と出題数

必須回答(30問):数的処理(16)、文章理解(8)、時事(6)
選択回答(5問を自由に選択):社会科学(5)人文科学(4)、自然科学(5)、国語(1)
※( )は出題数

◆2級職の出題科目と出題数

必須回答(32問):数的処理(16)、文章理解(10)、時事(6)
選択回答(3問を自由に選択):社会科学(4)人文科学(3)、自然科学(4)、社会科学(1)
※( )は出題数

奥田講師

足切りラインは13~14点
教養試験は足切りの判定として実施されるため、高得点を取る必要はありません。
Gravityでは18点(正答率5割)を目標点として指導しています。
この点数を獲得できる力があれば、試験本番でケアレスミスをしても確実に足切りを突破できるしょう。

(2)論文試験対策

Point

  • 論文試験は①職務経験論文②課題式論文の2つが行われる
  • 各1時間30分
  • 文字数はどちらも1200字以上1500字程度
  • 職務経験論文は1題が出題される
  • 課題式論文は2題が出題され、好きな1題を選択する

①職務経験論文の概要

職務経験論文とは、これまでの社会人経験(仕事での経験)を踏まえた上で、テーマに関する考えや意見を論じさせるものです。

これまでの仕事での経験を踏まえながら、1200字以上~1500字程度の文字数で述べることが求められます。

【2022年の出題テーマ】

職場の活性化について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。

引用:特別区人事院会採用試験情報 試験問題の公表

※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。

②課題式論文の概要

課題式論文とは、特定の行政課題や行政運営のあり方について、受験生の考えや意見を論じさせるものです(2題から1題を選択)。

政策的な知識や意見によって、1200字以上~1500字程度の文字数で述べることが求められます。

なお、主に大学生を対象とした「特別区Ⅰ類(大卒程度)」の論文試験では具体的な政策テーマについての出題が多いのに対し、経験者採用では抽象的な行政運営全般に関する出題が多い傾向にあります。

このため、「特別区Ⅰ類(大卒程度)」と「経験者採用」では、論文対策の方法が大きく異なってきます

【2022年の出題テーマ】
(1)シティプロモーションについて

(2)複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について

引用:特別区人事院会採用試験情報 試験問題の公表
奥田講師

1次試験の合否は「論文の評価」で決まります
特別区では論文の評価が極めて重要になります。教養試験ではなく論文で高得点を取ることが合格への最短ルートとも言えるでしょう。

◇2次試験(面接対策)編

1次試験に合格すると、いよいよ2次試験試験です。

特別区の2次試験は「面接試験」となっています。

特別区の面接試験は約45分もあり、他の公務員試験よりも圧倒的に面接時間が長いです。

面接試験の配点比率は公表されていませんが、これまでの合格者のデータを踏まえると、面接試験の配点が極めて高いというのが特別区の特徴です。

面接は、事前に提出している「職務経歴書」をべ―スとして実施されます。

しかし、面接時間が長いため、職務経歴書の内容以外からの質問がくるほか、1つ1つの回答に対して細かい深堀りがされます(圧迫面接と言われるような厳しいツッコミが入ることもあります)。

このため、1次試験を終えたら、できるだけ早くに面接対策に取り組むのがよいでしょう。

なお、例年、2次試験は大田区・蒲田駅近くの「産業プラザ」で行われていますが、2021年は日本橋にある「ロイヤルパークホテル」で実施されました。

Point

  • 2次試験の面接官は3人で試験時間は約45分
  • 特別区では面接試験の配点が大きい
  • 面接では職務経歴書以外からも質問される
  • 最終合格は、面接+論文の総合評価によって決定する

1級職と2級職の面接対策の違い

1級職と2級職の面接では、どちらも職務経歴書をベースに質問をされます。

一方で、2級職の場合には「職場事例」に関する面接試験が行われます。

この「職場事例」とは、「係長は忙しくて部下の管理ができていない。また、あなたの部下は仕事への意欲が低下している。このような状況で、主任のあなたはどうするか??」といった内容になります。

【2級職・職場事例問題の流れ】

①面接の冒頭に、職場事例が書かれた用紙を1分間で読むことを面接官から求められる

②内容を読み終わると、その事例への対応策についての意見を求められる。

③その意見に対して、面接官から様々な質問がされる(5~10分程度)

奥田講師

面接の上達にはトレーニングが必要です
1次試験の合格発表から2次試験(面接試験)までは、1週間程度しかありません。このため、1次試験の合否を待たずに、1次試験を終えてからすぐに面接対策に取り組むことが重要です。

いよいよ、2次試験の後は「区面接」に突入です!!

◇区面接編

2次試験を終えると、最終合格者が決定します。

しかし、最終合格をしても「内定」というわけではありません

「最終合格」というのは、あくまで特別区職員になるための資格を得ただけでですので、次は「内定」をもらう必要があります。

この「内定」を獲得するために行われるのが「区面接」になります。

区面接の流れを以下で確認しておきましょう。

【区面接の流れ】

①最終合格をすると、どこかの区(大抵は希望区)から電話がくる

②電話では、「うちの区で面接を受けないか?」と打診される

③この打診を承諾すると、連絡のあった区での「区面接」が行われる

④区面接を突破すると、その区から「内定」をもらうことができる。

⑤1級職の場合、「不採用」になると人材を確保できていない他の区から電話がくる(⇒①へ)

最終合格をしても内定をもらえない状況のこと「採用漏れ」と言います。
「採用漏れ」にならないためにも、区面接には万全の準備をしていきましょう。

区面接の雰囲気と所要時間

区面接の雰囲気は各区によって大きく異なります。

意向確認程度といった「軽い面談」のような区もありますし、2次試験と同じような「ガチガチの面接」を実施する区もあります。

なお、面接時間は20~30分程度の区が多いです。

第1希望区から面接の連絡が来なかったら?

試験順位や各区の定員の関係で第1希望区ではない区から区面接の打診がくることがあります

もちろん辞退することも可能です。

しかし、その後に他の区から必ず連絡があるとも限らないため、「採用漏れ」となるリスクも考慮しなくてはなりません

区面接で不採用となったら?

1回目の区面接で不採用となった場合には、2回目の連絡を待つことになります。

ただし、2回目の連絡があるのは1級職のみであり、2級職の場合は2回目はありません(基本的に、2級職の場合は1回目の区面接で内定をもらえます)。

Point

  • 「最終合格=内定」ではない
  • 特別区職員となるためには【区面接】を受けて【内定】をもらう必要がある
  • 必ずしも第1希望区から電話があるとは限らない
  • 最終合格をしても区面接で不採用(採用漏れ)となることもある
奥田講師

区面接にも万全の準備を!
採用漏れにならないためにも、最後まで油断しないでいきましょう。区面接では、各区独自の履歴書や面接カードの作成・提出を求められることもありますので、丁寧に提出資料を作成しましょうね。

まとめ

本稿で解説した内容をまとめます。

◆特別区経験者採用は一定の社会人経験(職歴)があれば受験できる

◆倍率は1級職は約8倍、2級職は約13倍

◆エントリー時の職務経歴書は面接試験で使用される

◆教養試験は独学が可能

◆論文の配点が高く、1次試験の合否は論文で決まる

◆2次試験の面接対策は、1次試験終了後すぐに取り掛かるべき

◆区面接において、場合によっては「不採用(採用漏れ)」がある

奥田講師

確実な合格には、論文試験と面接試験への万全の対策が不可欠です。
特別区経験者採用の合格には、論文と面接の2つで高得点を狙う必要があります。教養試験は独学で対応可能ですが、論文対策と面接対策については信頼できるプロからの指導を受けるべきでしょう。最短・最速で合格を狙う受験生には、「論文対策」と「面接対策」に集中的に取り組んでいただきたいと思います。

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